矢野坂の滝

静岡県 三島市

矢野坂の滝(やのさかのたき)【静岡県三島市】

 落差は3m程度、本流にかかる滝で水量はそれなりにありますが、地図を見て頂ければわかるとおり、生活地域内ということで清冽とは言い難い状況でした。

 滝周辺で飛び回っていた キセキレイ が可愛らしいので、滝の撮影は早々済ませ野鳥撮影に挑戦してはみたものの、チョコチョコ動き回る被写体は大変、ダメダメでした(笑)

 正直なところ、わざわざ足を運ぶほどの滝でないような気がしますが、道路からすぐの場所でアクセスが容易であること、また近辺にいくつかの滝が存在しているので併せて訪問してみては?



 滝巡りの話  第13話 『 野鳥 』

 ライチョウ滝巡りをして何が楽しいのですか?」と問われることがありますが、 『 野鳥との出会い 』 そして 『 野鳥好きな人との出会い 』 どちらも質問に対する数多くの答の中の一つです。

 矢野坂の滝 前で何となく振り返ると、散歩中の地元住民らしきおじさんが近付いて来ていることに気付く。当然ながら撮影は一時中断、タイミングを計り声をかけると挨拶に続いて嬉しそうに 『 カワセミですか? 』 と問いかけてきた。その時私は既に滝撮影を終えキセキレイの撮影挑戦中でしたが、この場所を訪問した主目的を強調するため 「いいえ、滝です(^^♪」 と答えると、三脚に据えられた私のカメラをチラリと見ながら 『 な〜んだ ('_')  』 の一声とつまらなさそうな面持ち、おそらく滝には全く興味がないのだろう。フクロウ


 そうなればと滝の話題は封印、とりあえず 「この場所にカワセミが生息しているのですか?」 と尋ねると、 『 知らない 』 の一言・・・ (-_-;)

 予想外の返事を受け一瞬言葉に詰まる私を横目に、相手は 「 じゃぁ 」 と言い残し立ち去ってしまった。滝の話ではなくとも、会話に何らかの盛り上がりを期待していたのですが・・・。山雀

 あっと言う間の幕切れに複雑な心境でしたが、 「まぁ無視されたわけではないし、時にはこういう出会いもあるさ」 と妙に納得しつつ滝に視線を向けると、川の上流に向かって飛ぶカワセミらしき鳥影、急いで撮影しようとカメラを構えるも、すぐに見失ってしまった。やはり素早い動きをする被写体を撮影するには、野鳥撮影に適したレンズと高い撮影技術が要求されるのだろう。しばらく周囲を観察するも再びカワセミらしき鳥をみつけることは出来なかった。

 そろそろ次の目的地に向かおうと別れを告げるようにゆっくりと滝を眺め、更に川の上流部に視線を移すと遠くの土手で川面を観察している人が目に入る。気になって望遠レンズを覗くと、先程出会った人が真剣に何かを探しているではないか・・・。セッカ


 自宅に戻り撮影した画像を眺めていて、ふとあの時出会った人との会話と、記憶のみ残っている鳥影が気になった。念のためネットで調べてみると、カワセミは三島市の市鳥に指定されており、よく観察していれば市内の公園や河川で見つけることができるらしい。
トラフズク なるほど、何食わぬ顔で 『 知らない 』 と言っていたあの人、実は野鳥好きで散歩がてらカワセミを探している途中、撮影している私を見つけ期待を胸に近付いてきたものの、思いっきり 「いいえ、滝です!」 などと返答したものだから、一気に気分が降下してしまったのかもしれません。

 滝の周辺のみならず水辺を散策していると様々な野鳥を目にすることが出来、可愛らしい姿を眺めているだけで何だか楽しいし、たとえ鳥の姿が確認できなくても、鳴き声が聞こえただけで十分心地良い気分になるものです。
 私が見た鳥がカワセミであるかどうか分かりませんが、わずかながらその可能性が高まりました。そして、あの時出会ったおじさん、本当に知らないのか、また知っていても確信が持てない、若しくは私の返答に落胆してつい逆の答えが飛び出してしまったのかな? 矢野坂の滝での一幕、当初は短時間かつ複雑な心境になった出会いでしたが、今となってはこの滝と切っても切れない記憶として私の中に深く刻まれています。



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【アクセス情報】

 位置は地図を参考にしてください。道路(川の右岸側・西側)からすぐに見ることができるので、とってもお手軽な滝です。
 滝の標識案内板等は一切ありません。




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